電気工事における職長・安全衛生責任者教育とは?役割について解説2025.11.04
電気業、ガス業、建設業、製造業といった特定の業種には、職長や安全衛生責任者を設置する義務があります。職長や安全衛生責任者の概要や設置する条件、受験資格などの情報が知りたいと思っている方向けに、おもに電気工事における職長と安全衛生責任者の概要や役割、職務について解説します。職長と安全衛生責任者教育の設置義務や受験資格についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
電気工事における職長とは?
職長とは、一般的には職場や作業における長、リーダー格の人物を指す言葉です。労働安全基準法第60条では、職長等とは労働者を直接指導監督する者と定義されています。おもな職長等の例が、現場監督や現場責任者、班長やライン長などです。
労働安全基準法第60条では、以下の業種において現場で新たに職長等を選任する場合において「職長教育(12時間)」の実施を義務付けています。
・建設業
・製造業(※たばこ製造業、紡績業及び染色整理業繊維工業、衣服その他の繊維製造業、セロファン製造業以外の紙加工品製造業を除く)
・電気業
・ガス業
・自動車整備業
・機械修理業
※2023年4月より、すべての食品製造業及び新聞業・出版業・製本業及び印刷物加工業も対象
電気工事における安全衛生責任者とは?
安全管理責任者とは、現場や作業において安全責任を追う立場の人物を指します。
安全衛生法第15〜16条では、一定規模の建設現場では元方事業者は「統括安全衛生責任者」を選任し、関係請負人は「安全衛生責任者」を選任することを義務付けています。そのため建設現場では、職長等が安全管理責任者を兼務するケースが多いです。
安全衛生責任者として選任された人を対象に行われる教育が、安全衛生責任者教育です。なお職長等と安全衛生責任者が兼務されることの多い建設業においては、「職長教育」と「安全衛生責任者教育」を統合した「職長・安全衛生責任者教育」の実施が厚生労働省より推進されています。
なぜ職長・安全衛生責任者の教育は義務付けられているのか
職長には、作業者に対して教育や指導を行う役割があります。また、安全衛生責任者には複数の下請け業者が関わる現場の安全確保と適切な作業の進行を担っています。これらの役割を確実に遂行するための知識やスキルを身に付けるために、職長・安全衛生責任者教育が義務付けられています。
職長および安全衛生責任者の具体的な職務については、次でくわしく解説します。
職長・安全衛生責任者の具体的な職務とスキル
職長および安全衛生責任者の担う職務や必要となるスキルについて順に解説します。
職長の担う職務
職長が担う具体的な職務は業種によって異なりますが、職長教育の科目では以下を職長の職務と定めています。
| 項目 | 内容 |
| 作業手順を正しく定める | 安全、効率良く作業が出来るように作業の手順と急所を定め、定期に見直しを行うこと。 |
| 作業方法を改善する | 常に問題意識を持ち、問題を見つけたら改善をすること。 |
| 作業員を適正に配置する | 作業の条件、内容に対し、部下の労働能力、知識、経験、体力、資格等を生かし、仕事が最も順調に進むように作業割り当てをすること。 |
| 作業者に対して教育・指導を行う | 安全で、正しい作業を行えるように、必要な知識、技能を身につけさせ、やる気を起こさせるように教育・指導を行うこと。 |
| 作業者に対して監督・指示をする | 作業開始を指示し、作業中は指示どおりに作業が行われているかを監視するとともに、不安全行動を発見したときは是正指導をすること。 |
| 危険性及び有害性を調査し、対策を実施する | 事前に、使用する機械設備や作業方法等の危険性又は有害性を調査し、その結果にもとづき改善措置を決定し作業計画、作業手順を定める。 |
| 環境の改善・保持に努める | 常に4Sを心がけ、快適な環境で作業が行えるように作業環境改善を行い、作業者の健康管理と職業性疾病対策を行うこと。 |
| 安全衛生点検を繰り返し実施する | 機械設備、環境等については、始業前、定期に点検を実施し基準からはずれた「異常な状態」を早期に発見して是正すること。 |
| 異常時の措置は適切に行う | 現場の異常事態を早期に発見し適切な措置をとるとともに、同種・類似の異常が発生しないように再発防止対策を講じること。 |
| 災害発生時の措置は適切に行う | 災害発生時は、まず被災者を救出し、二次災害防止の措置を講じた後、同種災害防止のため、災害調査及び原因分析を行い安全対策を講じること。 |
| 作業者の安全意識の高揚に努める | 労働災害の防止を図るためには、作業者全員が労働災害防止についての安全意識を高めるための安全活動を計画・継続的に行うこと。 |
| 創意工夫を引き出す | ヒヤリハット報告、改善提案制度といった諸活動をとおして、作業者から作業方法、作業環境改善等の提案や工夫を引き出すこと。 |
職長として必要となるスキル
職長として必要となるスキルは以下のものが挙げられます。
・業務を確実に遂行できる技術
・業務関連の知識と経験
・部下に対する柔軟な対応
・危険有害箇所や災害に関する知識
・職務権限内での迅速な意思決定
・職務権限内で伴う責任の熟知
安全衛生責任者の担う職務
安全衛生責任者は、同一現場で複数の業者が作業をするうえ(混在作業現場)で発生する可能性のある、労働災害を防止することがおもな職務です。そのために、以下の必要な措置を行います。
・協議組織の設置及び運営
・作業間の連絡及び調整
・作業場所の巡視
・関係請負人が行う労働者の安全または衛生のための教育に対する指導及び援助
・仕事を行う場所が仕事ごとに異なることを常態とする業種では、厚生労働省令で定めるものに属する事業を行う特定元方事業者の場合、仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画の作成、当該機械、設備等を使用する作業に関して関係請負人が安全衛生法またはこれに基づく命令の規定に基づき講ずべき措置についての指導
・その他の当該労働災害を防止するための必要な事項
安全衛生責任者として必要なスキル
安全衛生責任者は職種や所属などが異なる労働者が同じ場所で作業を進める、混在作業現場における労働災害を未然に防ぐのが役割です。そのためには以下のポイントを踏まえた職務の遂行や心構えが求められます。
・法令で規定された職務を遂行する
・他社に影響を及ぼすおそれのある作業の把握
・関係各所への適切な連絡調整
・もらい事故などを防ぐための周囲の作業状況の把握
・現場ごとに混在作業によって生ずる災害の種類の想定
・ほかの安全衛生責任者との情報交換に努めること
・統括安全衛生責任者(元請)からの連絡、指示事項が遵守されているかの確認
・後次の請負人の安全衛生責任者との連絡調整、助言・指導
職長・安全衛生責任者教育の受験内容や条件
職長および安全衛生責任者教育の受験内容や、条件について順に解説します。
職長・安全衛生責任者教育にて学ぶ内容
職長および安全衛生責任者教育に学科試験などはなく、所定の講座カリキュラムを受講することで修了できます。職長および安全衛生責任者教育にて受講する内容を以下にまとめました。
| 範囲 | 日程 | 科目 | 講習時間 | ||
| 内容 | 職長 | 職長・安全衛生責任者 | |||
| 職長・安全衛生責任者共通 | 一日目 | 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること | 作業手順の定め方労働者の適正な配置の方法 | 2時間 | 2時間 |
| 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること | 指導及び教育の方法作業中における監督及び指示の方法 | 2.5時間 | 2.5時間 | ||
| 異常時等における措置に関すること | 異常時における措置災害発生時における措置 | 1.5時間 | 1.5時間 | ||
| その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること | 作業に係る設備及び作業場所の保守管理の方法 | 1時間 | 1時間 | ||
| 二日目 | その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること | 労働災害防止についての関心の保持及び労働者の創意工夫を引き出す方法 | 1時間 | 1時間 | |
| 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること | 危険性又は有害性等の調査の方法危険性又は有害性等の調査の結果に基づき講ずる措置設備、作業等の具体的な改善の方法 | 4時間 | 4時間 | ||
| 安全衛生責任者のみ | 安全衛生責任者の職務等 | 安全衛生責任者の役割安全衛生責任者の心構え労働安全衛生関係法令等の関係条項 | - | 1時間 | |
| 統括安全衛生管理の進め方 | 安全施工サイクル安全工程打合せの進め方 | - | 1時間 | ||
| 計12時間 | 計14時間 | ||||
職長・安全衛生責任者教育の受験資格
職長・安全衛生責任者教育に特別な受講条件や制限はなく、誰でも受講可能です。未経験者でも将来的な必要性を考えて受験することもできます。
まとめ:職長・安全衛生責任者の役割
職長・安全衛生責任者の役割や職務内容、各教育について解説しました。電気業も職長・安全衛生責任者の設置時教育の受講が義務付けられている業種のひとつです。ほかにも多くの資格や講座があるため、スキルアップのチャンスも多くあります。
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