高圧ケーブル工事技能認定とは?現場で求められるスキルと資格の必要性を初心者にもわかりやすく解説2026.03.10
電気工事のひとつである「高圧ケーブル工事」を行うためには、電気工事士資格に加えて「高圧ケーブル工事技能認定」が必要です。これから電気工事士としてのキャリア形成や収入アップを検討している人は「高圧ケーブル工事技能検定はどうやって取得する?」「取得しておいたほうがいい?」といった疑問を持つ方も多いかもしれません。本記事では、高圧ケーブル工事技能認定の基本情報や取得するメリット、取得方法について解説します。取得による給与やキャリアへの影響も紹介していますのでぜひ参考にしてください。
高圧ケーブル工事技能認定とは?その概要と電気工事における役割
高圧ケーブル工事技能認定の基本情報や、なぜ電気工事に必要となるのかを解説します。
高圧ケーブル工事技能認定とは
高圧ケーブル工事技能認定とは、高圧ケーブル工事に必要な知識と技術を持っている電気工事士であることを認定する制度です。一般社団法人日本電気協会や日本電気工事士協会、各電力会社などで開催されている認定講習会と検定試験を受講し、合格することで認定されます。関東地区では昭和46年から開始され、平成29年度取得分からは5年ごとの有効期限が設けられました。有効期限を更新するには、5年ごとに更新講習と検定試験の受講が義務付けられています。
高圧ケーブル工事技能認定の役割
高圧ケーブル工事技能認定は、高圧受電設備に関わるケーブル工事の施工不良による、各種電気事故を防止するために存在します。特にケーブルの中でも高圧ケーブルは工場やビルのキュービクル(高圧受電設備)などで使用されており、6.6kVという高電圧が流れているのが特徴です。
高圧ケーブルは低圧ケーブルよりも処理や施工の難易度が高く、万が一絶縁不良や施工ミス、末端処理のミスなどをした場合火災や感電といった事故が発生する可能性が高くなっています。そのため、適切工具や作業方法を選択するのはもちろん、安全な処理や施工のために専門的な知識が必要です。高圧ケーブルの危険性を認知し、安全な施工を行う知識と意識を持つために、技能講習および検定によって高圧ケーブル工事技能を持つ者としての認定が行われています。
高圧ケーブル工事技能認定の種類
高圧ケーブル工事技能認定には、以下の3種類があります。
・末端処理
・直接接続
・更新講習
高圧ケーブル工事の末端処理と直接接続で認定が分かれているため、自分が携わる業務に応じた認定を受ける必要がありますが、直接接続は末端処理の認定を受けていないと受講ができません。講習会によってはどちらか一方のみを受講できるほか、両方同時に取得できるものもあります。
更新講習は、高圧ケーブル工事技能認定の有効期限を更新するための講習です。有効期限内に受講および検定試験に合格しないと、高圧ケーブル工事技能認定の資格は失効されます。ただし更新制度が設けられたのは平成29年度取得分からで、それ以前に取得した高圧ケーブル工事技能認定には有効期限は設けられていません。
高圧ケーブル工事技能認定を取得するメリットとキャリアアップ
高圧ケーブル工事技能認定を取得することで、電気工事士として働くうえで多くのメリットが得られ、キャリアアップにもつながります。それぞれ得られるメリットや、キャリアへの良い影響を順に解説します。
対応できる業務範囲が広がる
高圧ケーブル工事技能認定を取得すると、電気工事士資格のみではカバーできない高圧ケーブル末端処理が行えるようになります。企業に属している電気工事士の場合は任せてもらえる業務範囲が広がることで、周囲からの高い評価につながったり、顧客から信頼を得られたりといったことにもつながるでしょう。企業によっては技術や取得資格によって給与査定が上がる制度を導入しているところもあるため、収入アップも期待できます。
個人事業主の電気工事士の場合も、高圧ケーブル末端処理に対応できることで受注できる案件の増加につながります。受注数が増えることで結果的に収入アップも見込めるでしょう。
停電や感電、事故を防いでの作業が可能になる
高圧ケーブル工事技術認定の講習会では、おもに高圧ケーブルを取り扱う工事の基礎知識や、適切な作業方法、安全について学びます。高圧電流が流れている銅線を露出して処理をする高圧ケーブルの末端処理は、正しい処理を行わないと感電や火災といった事故につながる危険性が高いです。
高圧ケーブル工事技術認定を受けることで、高圧ケーブルに関する工事を行う際にも、万が一の事故を防いで安全な作業が実施できるでしょう。自分自身やともに作業を行う人の安全を守る上でも、大きなメリットです。
業務上での信用度が高まる
高圧ケーブル工事作業は安全管理を徹底した上で行われ、万が一事故が発生した場合現場や作業の責任者が責任を追うことになります。責任者の立場から考えれば、高圧ケーブル工事を任せるのは、高圧ケーブル工事技能認定を受けている者を選択するのは明らかです。高圧ケーブル工事技能認定を受けることで、自分自身が高圧ケーブルに関する正しい知識を有していることや、適切な作業ができることの証明となり、周辺からの信用にもつながるでしょう。
高圧ケーブル工事技能認定の取得方法と講習内容
高圧ケーブル工事技能認定の取得方法および講習や検定試験の内容を順に紹介します。
高圧ケーブル工事技能認定の取得方法
高圧ケーブル工事技能認定を取得するには、一般社団法人日本電気協会の各支部および一般社団法人日本電気工事士協会で行っている講習会と検定試験に参加する必要があります。組織によって実施日時や費用が異なるため注意しましょう。
高圧ケーブル工事技能認定を受けるには、電気工事士資格が必須です。以下に受講の条件をまとめました。
| 認定の種類 | 条件 |
| 末端処理 | 第一種電気工事士免状取得者 または 第二種電気工事士免状取得後5年以上の経験を有する者 |
| 直接接続 | 高圧ケーブル工事技能認定証(端末)の交付受領者 端末処理講習を同時受講する者 |
申込方法も、Webや郵送、FAXでの受付など講習会を実施する団体組織により異なります。
高圧ケーブル工事技能認定の講習内容
高圧ケーブル工事技能認定の講習は大きく分けて学科(座学)、実技、検定試験があり、2日間で行われます。カリキュラムの内容は受講する講習会によって異なりますが、以下に一例をまとめました。
1日目
09:00~09:10 開講・注意事項
09:10~11:00 高圧ケーブルの一般知識、高圧ケーブルの端末処理
11:00~12:00 高圧ケーブルの布設、保守・点検および工事と安全
12:00~13:00 昼 食
13:00~17:00 ゴムストレスコーン形屋内終端接続部の組立実習
2日目
09:00~11:00 実技試験(ゴムストレスコーン形屋内終端接続部)
11:00~12:00 ゴムとう管形屋外終端接続部の組立実習
12:00~13:00 昼 食
13:00~14:30 耐塩害終端接続部の組立実習・解体整理
14:30~15:00 筆記試験
15:00~15:30 質疑応答後、終了
検定試験の結果、所定の技術があると認定されれば後日認定証が送付されてきます。
高圧ケーブル工事技能認定の難易度と合格のためのポイント
高圧ケーブル工事技能認定の難易度や、合格するためにおさえておきたいポイントを順に解説します。
高圧ケーブル工事技能認定の難易度
高圧ケーブル工事技能認定の難易度は高めと言えます。まず受講するための条件として、「第一種電気工事士」または「第二種電気工事士資格+5年の実務経験」が必要です。さらに、認定を受けても第二種電気工事士資格では高圧ケーブル工事に携わることはできません。まずは受講資格を満たすために第一種電気工事士資格取得と、電気工事士としての実績を積むことが重要です。
高圧ケーブル工事技能認定に合格するためのポイント
高圧ケーブル工事技能認定に合格するためのポイントを以下にまとめました。
・申し込みは早めに行う
・忘れ物をしない
・遅刻は厳禁
高圧ケーブル工事技能認定は多くの講習会が定員制で、先着順で申し込みを受け付けています。定員に達すると申し込みが締切となるため、受講を希望する場合には日時を確認のうえで早めの申し込みを行いましょう。
講習に必要な道具を忘れてしまうと、受講が難しくなることがほとんどです。忘れ物に気をつけて準備を行いましょう。指定の道具は講習会によって異なりますが、講習会に必要な持ち物を一般社団法人日本電気協会東北支部の場合を例に、以下にまとめました。
・受講票
・筆記用具
・ノート
・ペンチ
・電工ナイフ
・カッターナイフ
・はさみ
・ニッパー
・ウエス
・ガスごて
・サンドクロス(80番前後)
・金やすり
・スケール
・簡易型ノギス
・ケーブルカッター
・圧着工具(ダイス22)
・ビニル粘着テープ(寸法目印用、黒色以外のもの)
・ベンジンまたはアルコール(少量)
・スパナ
安全に作業ができる服装(作業着、作業手袋(耐切創手袋の使用を推奨)
多くの講習会場で遅刻すると受講ができなくなるとしています。当日は遅刻に気をつけて、時間に余裕を持って受講するようにしましょう。
高圧ケーブル工事の重要性と将来性
高圧ケーブル工事は再生可能エネルギーの普及にともなう電力需要の増加や、高圧ケーブルに使用する新材料や施工技術の開発を背景に、今後も高いニーズが期待されています。
また、高圧ケーブル工事技能認定を取得することで、作業者としてだけでなく高圧ケーブルに関するプロジェクト管理や技術指導面でのキャリア形成も実現できます。
まとめ
高圧ケーブル工事技能認定でプロの電気工事士へ 高圧ケーブル工事技能認定の基本情報や受講方法、受講内容について解説しました。高圧ケーブル工事技能認定を受けることで、対応業務範囲が広がったり、年収やスキルアップ、キャリア形成面でも多くのメリットが得られます。まずは電気工事士資格取得と実績を積むことを目指し、将来的に高圧ケーブル工事技能認定取得を目標にしましょう。
