「電気取扱者」の定義・役割・法定講習を解説!安全な電気作業の基礎知識2026.03.10
労働安全衛生法により、危険な業務に従事する場合にはその業務に関連する安全教育の受講が義務付けられています。そのひとつが、「電気取扱者」です。電気に関する業務に従事する場合に電気取扱者の資格が必要となりますが「電気取扱者はいろいろな種類があるけれどもどれを受ければいいの?」「電気取扱者と電気工事士の違いは?」といった疑問を持つ方も多いかもしれません。本記事では、電気取扱者の基本情報や目的、似ている資格や職種との違いについて解説します。電気取扱者特別教育の受講方法や、取得後のキャリアパスについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
「電気取扱者」とは?定義と役割を理解する
電気取扱者とは、電気設備の危険業務に従事する場合に感電災害防止のために、受講が義務付けられている特別教育を受講し、修了した者のことです。労働安全衛生法の労働安全衛生規則第36条では、労働災害発生の危険性のある業務に携わる場合、従業員の安全を守るために特別教育の受講を義務付けています。電気取扱者が従事する電気取扱作業などは、特別教育の受講が必要な危険業務のひとつです。
電気取扱者の種類と必要な特別教育
電気取扱者は、業務上取り扱いができる電圧により、以下の3種類の特別教育に分かれています。
・低圧電気取扱者
・高圧電気取扱者
・特別高圧電気取扱者
電気取扱者のそれぞれの種類ごとにできることや特徴を解説します。
低圧電気取扱者
低圧電気取扱者とは、低圧(交流では600V以下、直流では750V以下)における充電電路の敷設や修理の業務、および配電盤室・変電室などの区画された場所に設置する、充電部分が露出している低圧の電路の開閉器の操作業務を行うために受講が必須となる資格です。
低圧電気取扱業務特別教育については、以下の記事で詳しく解説しています。
高圧電気取扱者
高圧電気取扱者とは、高圧(交流では600V以上7000V以下、直流では750V以上)における充電電路や電路の支持物の敷設や点検、修理、操作といった業務を行うために、受講が義務付けられている資格です。
高圧電気取扱業務特別教育については、以下の記事で詳しく解説しています。
特別高圧電気取扱者
特別高圧電気取扱者とは、特別高圧(交流及び直流において7000V以上)における充電電路や電路の支持物の敷設、点検、修理、操作といった業務を行うために、受講が義務付けられている資格です。
実際の業務で取り扱う電圧に該当する電気取扱者の特別教育を受ける必要があります。
電気取扱者の「特別教育」の内容と受講方法
電気取扱者の資格を取得するためには、特別教育を受ける必要があります。特別教育の内容や、受講方法について解説します。
特別教育の内容
特別教育は学科と実技から成り、内容は受講する電気取扱者資格によって異なります。特別教育の内容を以下にまとめました。
| 電気取扱者資格の種類 | 学科の内容 | 実技の内容 |
| 低圧電気取扱者 | 低圧の電気に関する基礎知識(1時間) 低圧の電気設備に関する基礎知識(2時間) 低圧の安全作業用具に関する基礎知識(1時間) 低圧の活線作業及び活線近接作業の方法(2時間) 関係法令(1時間) | 低圧の活線作業及び活線近接作業の方法(1時間) |
| 高圧・特別高圧電気取扱者 | 高圧・特別高圧の電気に関する基礎知識(1.5時間) 高圧・特別高圧の電気設備に関する基礎知識(2時間) 高圧・特別高圧の安全作業用具に関する基礎知識(1.5時間) 高圧・特別高圧の活線作業及び活線近接作業の方法(5時間) 関係法令(1時間) | 高圧・特別高圧の活線作業及び活線近接作業の方法(1時間) |
各電気取扱者資格は、指定の特別教育を受講すれば取得できます。試験などはないため、比較的取得しやすい資格と言えるでしょう。
電気取扱者特別教育の受講方法
電気取扱者特別教育の受講方法は、大きく分けて以下のふたつです。
・企業や事業所で実施される特別教育を受ける
・団体などで開催されている特別教育を受ける
労働安全衛生法では、該当する業務に従事する場合、事業主が労働者へ特別教育を受けさせることが義務付けられています。電気工事などを事業とする企業へ就職し、該当する従業員へまとめて電気取扱者特別教育を実施することも多いです。
各電気保安協会や専門学校、製造メーカー系の教習場などで実施している電気取扱者特別教育の講習会へ申込みを行い、取得する方法もあります。
H2. 混同しやすい関連資格・職種との違い
電気取扱者のほか、以下のような電気工事に関するさまざまな職種が存在します。
・電気工事士
・電気主任技術者
・認定電気工事従事者
それぞれの資格と電気取扱者の違いを順に解説します。
「電気取扱者」と「電気工事士」の違い
電気取扱者が労働安全衛生法で定められている特別教育の修了者であるのに対して、電気工事士は電気工事士法によって定められた国家資格です。電気工事の欠陥による災害事故の発生防止のために、電気工事や保守に携わる場合電気工事士資格が必要になります。
電気工事士は、取り扱える電圧の範囲に応じて以下の2種類に分かれています。
・第二種電気工事士:600V以下の電気工事が可能
・第一種電気工事士:第二種の範囲+高圧の電気工事が可能
電気取扱者はすでに配置されている電気設備の取扱に必須となる資格ですが、電気工事士は、何もないところから電気設備を作り出す電気工事や、保守点検が可能となる資格です。
電気工事士資格を取得するには、定められた実務経験と電気工事士国家試験に合格する必要があります。学科および実技試験対策が必要となりますが、第二種電気工事士の合格率は50%〜70%と決して難易度は高くありません。まずは第二種電気工事士資格を取得し、その後スキルアップのために第一種電気工事士資格を取得すると良いでしょう。
第一種・第二種電気工事士資格については、以下の記事で詳しく解説しています。
「電気取扱者」と「電気主任技術者」の違い
電気主任技術者とは、電気設備の保安や管理に従事する際に必要となる国家資格です。取り扱える電圧の範囲により、以下の種類に分かれています。
・第三種電気主任技術者:電圧が5万ボルト未満(出力5千キロワット以上の発電所を除く)の事業用電気工作物
・第二種電気主任技術者:電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
・第一種電気主任技術者:すべての事業用電気工作物
電気主任技術者は、取り扱える電圧の範囲が広くなるごとに試験の難易度が高くなりますが、もっとも電圧の低い第三種でも平均合格率が9%前後です。電気関連資格の中でも特に難易度の高い資格のため、電気工事士や電気取扱者としてキャリアを積んだ後、しっかりと試験対策を行ってから挑戦するのがおすすめです。
「電気取扱者」と「認定電気工事従事者」の違い
認定電気工事従事者とは、最大電力500kW未満の需要設備(自家用電気工作物)のうち、電圧600V以下で使用する電気工作物の工事(電線路に係るものを除く)(簡易電気工事)に従事できる認定資格です。
認定電気工事従事者は、以下の電気関連資格を取得の上で申請または認定講習を受けることで取得できます。
| 取得方法 | 条件 |
| 申請+認定講習を受ける | 第二種電気工事士を保有+認定電気工事従事者認定講習を受講 |
| 電気主任技術者または電気事業主任技術者を保有+認定電気工事従事者認定講習を受講 | |
| 申請のみ | 第一種電気工事士を保有 |
| 第二種電気工事士を保有+免状交付後3年以上の実務経験 | |
| 気主任技術者または電気事業主任技術者を保有+免状交付後3年以上の実務経験 |
事業者が電気取扱者に関して負うべき義務
労働安全衛生法では、電気取扱者業務に該当する作業に従事する従業員に対して特別教育を受けさせる義務があります。特別教育を受けずに電気取扱作業に従事した場合、感電災害などの事故が発生するリスクがあるためです。
なお、必要な特別教育を受けさせない事業者に対しては、労働安全衛生法に基づいて6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金の罰則が与えられます。
電気取扱者としてスキルアップする方法とキャリアパス
未経験から電気取扱者としてスキルアップをしたい場合、まずは第二種電気工事士資格の取得をおすすめします。第二種電気工事士資格を取得することで、電気工事に関連する業務に携われるようになります。電気工事士の業務上で充電されている電路の操作や点検、活線作業などが必要になった場合、会社で取り扱う電圧に応じた電気取扱者の特別教育を受ける、といった流れが電気取扱者として活躍する一般的なルートと言えます。
業務経験を積みながら電気工事士資格取得を目指せる企業へ就職することで、未経験から電気工事士資格取得を目指せます。株式会社soraは、第二種電気工事士資格取得率100%の企業です。未経験から目指す電気工事士を募集しています。
H2.まとめ
「電気取扱者」の正しい知識で安全な職場環境を実現 電気取扱者の概要や役割、電気取扱者の種類や資格取得方法、ほかの電気関連資格との違いについて解説しました。電気取扱者を取得することで、対応する電圧の電気設備の取り扱いが可能になりますが、第二種電気工事士資格を取得後に電気取扱者の特別教育を受けることが、一般的なキャリア形成のルートとなります。資格取得環境が整っている企業などを選ぶことで、未経験から電気工事士や電気取扱者としてのキャリアをスタートできるでしょう。
